すでに、何らかのボートで川下りを楽しまれている方に向けて
アルパカラフトの「弱点」と「利点」について、改めてお伝えしたいと思います。
軽量コンパクトであることに代表されるアルパカラフトの利点は、
結構知っていただくことができているように思うのですが、
同時に存在する「弱点」も、もう少しお伝えするべきだと考えている今日この頃です。

アルパカラフトは、シンプルで、軽く簡単に持ち運んで使えるボートである為に、限界まで無駄を省いています。壊れやすい部分があったり、使う方に慣れを要求したり、軽い故に存在するリスクの容認を求めます。アルパカラフトの「利点」は諸刃の剣とも言えるかもしれません。

アルパカラフトの「利点」と「弱点」について、少し細かく考えてみましょう。
■アルパカラフトの「利点」は、以下のようなものになると思います。
◯軽量コンパクト
(素材の選択、1気室、シンプルな作り)
◯船体形状による、高い安定性
(低い座面、太いアウターチューブ)
◯船体形状と軽さによる、高い回転性
(フラットボトム、短さ、軽さ、セルフベーラーがない、喫水の浅さ)
■どんな種類のボートにも向き不向きのフィールドがありますが、アルパカラフトの「弱点」はなんでしょうか?
◯1気室であるということ
(ホワイトウォーター用インフレータブルボートは2気室以上が普通)
◯内圧が高くない
(伸縮性のない素材に起因。他のインフレータブルボートは伸縮性があり、ポンプにより内圧を高め張りを出す)
◯直進性がなく、風に弱く、最大スピードが遅い
(軽いので慣性の力が発生しにくい、フラットボトム、短さ、内圧の低さなどに起因。喫水が浅く、水面に浮かんでいるような感じ)
■これらの「弱点」は、そのまま「利点」と表裏一体の関係にあります。「弱点」を補うとすると、「利点」も失われてゆくのではないでしょうか?
◯まず、1気室であることにより、本体チューブがパンクした場合、体を支えるのに充分な浮力を持った部分がありません。陸から離れた所で、完全にパンクしたら泳いで帰るしかありません。そこは泳いで陸に付き、帰れる場所でしょうか?アメリカの国立公園内では、インフレータブルボートの場合、2気室以上でないと川を下る許可が降りないという場所もあるくらいです。
アルパカラフトは、シンプル・頑丈な1気室で、軽量コンパクトを実現しています。ですが、常にパンクした場合のことを想定しておきましょう。
現在は、カーゴフライカスタムにより、3気室にすることも可能です。詳しくはお問い合わせください。
◯次に、伸縮性のない素材の為、内圧を高めることができず、他のインフレータブルボートに比べると、張りがありません。その為、ホールでは捕まると脱出しにくく、水圧の影響を受けやすくスピードが遅いです。
アルパカラフトは、この素材により、軽量コンパクトを実現しています。操作性を重視する場合、足が前にしっかりと踏ん張れるようにタイトに乗り、下半身をフレームとして、全体の張りを出すというコンセプトの元に造られています。(ゆったり乗る場合はこの限りではありません)
ダッキーなどの内圧の高いインフレータブルボートですと、2人用の長い舟に1人で乗っても大丈夫ですが、Explorer42などの2人用アルパカラフトに1人で真ん中に乗ると、船体が少し"しなり"ます。長いボートに1人で乗る場合には、荷物の位置などを工夫した方が操作性はUPするでしょう。
◯さらに、直進性がなく、風に弱く、最大スピードが遅いです。湖、ゆるく流れる川、穏やかな海などでは、危険はないように考えられがちですが、風や潮流などの影響は非常に大きいです。シーカヤックやファルトボートを初めとする直進性を重視する舟が、底が平らではなく、突き出ているキールという部分を持ち、長さのあるキールが水中にあることにより、直進性や、風に対する耐性を生んでいます。
アルパカラフトは、水量が少なく岩も多い川の源流部から、重い荷物でも障害物をよけて下れるように、また誰でもすぐに慣れるように、回転性、安定性を重視しています。
サニーエモーションのツアーでは、この慣れやすいという特徴を最大限に活かし、"流れのある川で操船して下る"楽しさを知っていただきたく、ダウンリバーツアーを開催しております。
慣れやすいという為に、あまり怖い思いをしないままレベルをあげてしまうという点には注意が必要です。リジットカヤックのように、ロールのできないアルパカラフトでは、常に沈して流された場合のことを想定しなければいけません。
■アルパカラフトの「弱点」と「利点」のバランスは、
考え尽くされ様々なテストを経て
世の中にリリースされています。
あえて採用していない機構もあるということになります。
「弱点」と「利点」を把握して使えば、
広く深く楽しめるボートではないでしょうか。

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